つとむューニッキ(はてなダイアリー版)

つとむューのニッキです。

カメタロウ大脱走!

今夏のことだった。
家の前の空地の草をかき分けて、次男が何かを捜している。
「おーい、何やってんだ?」
ベランダに出てみると、眼下の庭では所狭しと家族中が這いつくばっていた。


「カメタロウが逃げちゃったのよ、また・・・」
最後の二文字に諦めを込めて妻が言う。
「ごめんなさい」
張本人の次男が、悪びた様子もなくペコリと頭を下げた。


一年前、次男がクラスメートの女の子からもらってきた草ガメ「カメタロウ」。
その時からまあまあ大きく、甲羅は十センチくらいある。
そのため歩くのも意外と速い。
水槽の水の交換中、双子の兄とふざけているうちに居なくなったという。


庭の中ならまだ見つかる可能性がある。
しかし隣の空地に入り込んでしまったらジ・エンドだ。
そうなる前に見つけようと、皆必死になっていた。
オレも加勢したが、盛大に蚊に刺されながらむなしく日没を迎えた。


翌日もカメタロウは見つからなかった。
次の日もダメ。
仕事から帰ったオレは、毎晩庭に立ち目を閉じて耳を澄ます。
しかしよく考えたら、カメがそんなに動くはずはなかった。


翌週は、後ろ髪を引かれながら夏の帰省に出発。
そしてすっかり諦めかけた旅行先で、オレの携帯が鳴り響く。
「カメタロウが見つかったわよ!」
留守番中のオレの母の声に、子供達の歓声が上がった。


なんでもカメタロウは庭の隅でじっとしていたらしい。
帰宅すると、隣の空地はすっかり草が刈られていた。
もしあの場にカメタロウが居たとしたら? そう思うとぞっとする。
夜の庭でじっと耳を澄ましたこと。それがこの夏の想い出となった。




はてなダイアリー 今週のお題「ペット大好き!」