チクショー! 心の中で叫びながら、夕暮れの坂道を自転車で駆け下りる。涙も本当に出てきやがった。忘れ物を取りに、部室になんか戻らなければよかったんだ。そうすれば、あんなところを見ずに済んだのに… 部活が終わったのはちょうど三十分前。別れ際、明日…
「五回?」 雄介は授業中ずっと考えていた。 京香が数学の教科書に書いていた回数を。 俺って五回も居眠りしてたっけ? 一つ前の時間は数学だった。 サイン、コサイン、タンジェント… 三角比の呪文が心の中にも梅雨の曇天をもたらす。 飛行船に乗ればふわふ…
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