センチンゲメンタルな秋

「そういえば、チン毛が同時に生えなかったらどうすんのよ？」
突然、妻が言った。朝食の時に、思い出したように。
不意を付かれたオレは、咄嗟に返事をすることができない。
だって、双子だから同時に生えるものと思い込んでいたから。

『チンゲーム機作戦』
今年の五月に書いた、双子の息子に対するオレの教育方針だ。
チン毛が生えてママに見せることができたら、ＰＳＰを買ってやる。
小五の息子達は、今もチン毛が生えるのを楽しみにしている。

しかし、今明らかになった大問題。
二人同時にチン毛が生えるとは限らない。
生え遅れた方は、センチメンタルな日々を過ごすに違いない。
妻は、今からそれを心配しているのだ。

その懸念は息子達にも伝わった。
「じゃあ、ママ達のチン毛はどうだったの？」と次男。
「そんなの忘れたわよっ！」と、顔を赤らめる妻。
そうだよ、次男。それはチン毛じゃないし。
すると長男も疑問を口にする。
「えっ、ママ達って双子だったの？」
おいおい、お前は自分の母親が双子だって知らなかったのかよ！？
「だって普通の姉妹だと思ってたから」
あんなにそっくりな姉妹って十分に普通じゃないぜ。
そんなやり取りを聞きながら、長女は一人黙々と朝食を食べていた。

それにしても、先にチン毛が生えるのはどちらだろうか。
来るべく問題を憂いて、センチメンタルな気持ちに包まれた秋の日だった。

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はてなダイアリー　今週のお題「センチメンタルな秋」