つとむューニッキ(はてなダイアリー版)

つとむューのニッキです。

先生が教える嘘つき君のホントは?

思い出の先生と言えば、中学校の時の数学の先生かな。
その先生はある日突然、変な問題を黒板に書き始めた。
『あるところに、堀外君という青年がいました』
クラスの人気者、堀内君(仮名)をもじった人物の登場に教室がどっと沸く。


「なんだよ先生、ホリガイってのは俺のことじゃないのかよ!?」と堀内。
「違うよ。これは、ホリタト君って読むんだ」
そう言いながら、先生は『外』の字の真ん中を指でなぞって『タト』にする。
そして、続いて問題の核心部を書き始めた。


『堀タト君は、十個の吸殻で一本のタバコを作ることができます』
『ある日、堀タト君は百個の吸殻を拾いました。すると何回吸えるでしょう?』
なんだ、簡単じゃねえか。オレは『十回』と答えそうになってハッと気付く。
「みんな間違えるな、最後にもう一回吸えるぞ」と、先生はニヤニヤ顔だった。


それからしばらく堀タト君シリーズが続き、数学の授業が楽しくなった。
そして、堀タト君シリーズの最後を飾ったのは、こんな究極の問題だった。
『堀タト君は言った。「俺は嘘つきだ」。これは本当か嘘か?』
君達が大人になったら答えを出して欲しい、というメッセージとともに。


オレは考える。堀タト君が本当に嘘つきなら、嘘つきということ自体が嘘になる。
嘘の嘘は本当? でも本当なら堀タト君は本当に嘘つきってこと?
考えれば考えるほど分からなくなり、オレはこの問題が忘れられなくなった。
これが『自己言及のパラドックス』と呼ばれていることを知るのは後のことだ。


某サイトの去年のGW企画のテーマは『矛盾』だった。
それを聞いて、真っ先に思い出したのが、この『自己言及のパラドックス』だ。
――ある条件を満たした時にだけ嘘をつく女子高生アンドロイドの物語
彼女が最後に叫んだ言葉がオレの答えだと、今は先生に問いかけてみたい。




はてなダイアリー 今週のお題「思い出の先生」