つとむューニッキ(はてなダイアリー版)

つとむューのニッキです。

文章塾

洗わない男

オレは洗わない男。 そう、朝は洗わない。 皿を洗うのは、夜と決まっているのだ。 「なんでいつも朝は、お皿を洗ってくれないの?!?」 毎朝、我が家はいざこざが絶えない。 妻は、出勤前のオレが 時間をもて余していると勘違いしている。 皿は朝、水につけ…

卒業の乾杯

「イッキ!イッキ!イッキ!イッキ!」 卒業式の後の教室で、歓声が沸き起こる。 一人の生徒が教壇に上がり、並んだボトルの中身を次々と空ける。 中身はビール?ではなくて、期限切れ寸前のミネラルウォーター。 防災用として、高校入学時に買わされたもの…

ダンスの高校

僕らの母校は、ダンスの高校だ。 リズムに乗って弾け飛んだ汗は、校庭の土に深く染み込み、 熱い季節が訪れるたびに、生徒の心をうずうずさせる。 「文化祭の後夜祭は、ダンスをやります」 新入生となった僕らは、そんな説明に幻滅してしまった。 高校生にも…

無線犬の恩返し

雪の夜に、あの人はボクにミルクをくれた。 駅からは、こんなに沢山の人達が出てくるのに、 暖かいミルクをくれたのは、あの人だけだった。 なんとか恩返しをしたい。 あの人の家の前で、そんなもどかしい気持ちに支配される。 すると突然、電気のような思念…

タイムマシン・ルーペ

クルクルッ、バッシャーン! 急に体が軽くなったと思ったら、いきなり水の中に落とされた。 何がなんだかわからない。 恐る恐る周りを眺めてみると、そこは穏やかな南国の海辺の風景。 きれいなサンゴ礁が、浅瀬を作っている・・・ いったいどうしてこんな事…

防音を忘れた壁

「うるさーい!静かにしろーっ」 隣の部屋で妻が叫ぶ。 妻が居るであろうあたりの壁を見る。 この壁は、防音をし忘れた壁だ。 こんなにもよく妻の声が聞こえることが、その証拠である。 大きくなったらどんな家を建てようか・・・ 子供の頃は、いろいろな夢…

だいこん

「だいこんなんて、だいっキライ!」 おでんを前にして息子が叫ぶ。 そんな光景に、ふと昔の自分の姿を重ねる。 何を隠そう、自分もだいこんが大嫌いだった。 だいこんが食べられるようになったのは、一人暮らしを始めてから。 食費が乏しい中、食べられない…

たたまない男

オレはたたまない男。たためない男なんかじゃない。 でも、どうやってたたむのだろう。あのTシャツなんか。 首から縦に2つ折りして、あとはくるくるってやればいいのに。 わざわざ後ろ向きに広げて、縦に3つ折り、そしてさらに袖を・・・ ああ、めんどくさ…