つとむューニッキ(はてなダイアリー版)

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海の見える町

数年前、紀伊半島のある町に出張した時のこと。
駅前のビジネスホテルが満室だったので、海に近い民宿を予約した。
「早起きして海を見に行くのも、たまにはいいんじゃないか」
オレは、民宿に泊まらざる得なくなったことをポジティブに考えた。


そして宿泊の翌朝、海を見ようと散歩に出たオレは驚きの声を上げる。
「えっ? 海が見えないじゃん!」
目の前には、高い堤防がそびえ立っていたのだ。
紀伊半島といえば、南海地震東南海地震津波に何度も襲われている地域。
「堤防さえなければ白い砂浜が目の前に広がっているはずなのに・・・」
でも津波防災のためなら仕方が無いと、その時は思った。


そして、東北地方太平洋沖地震が起きた。
三陸には『津波防災の町』を宣言する町があった。
宮古市田老地区。
十メートルの高さの二重のスーパー堤防が町を守っていた。
しかし今回の大津波は、軽々とその堤防を乗り超えてしまう。
きっと紀伊半島沿岸の方々は戦々恐々としているだろう。
津波防災を根底から見直さないといけないのは、間違いのない事実だ。


ここからはオレの勝手な妄想なので、話半分で聞き流してほしい。
堤防があっても家が流されてしまうなら、逃げる場所とルートの方が重要になる。
広い幹線道路、丘へ登る脇道、そして高い建物や樹木だ。
これらが十分整備されれば、津波用の堤防はいらないんじゃないのか?


もちろん堤防があれば、津波の威力軽減や到達遅延の効果をもたらすだろう。
一方、海が見える広い道の拡がる風景は、魅力的な観光資源になるかもしれない。
堤防に守られる命と、観光収益でその町に根付く命。
今後は海沿いのいろんな町で、そんな議論が巻き起こるかもしれない。


※今回の地震で亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、
被災された方々の一日も早い復興をお祈りいたします。




はてなダイアリー 今週のお題「東北地方太平洋沖地震」