つとむューニッキ(はてなダイアリー版)

つとむューのニッキです。

父が託した魔法の言葉

あれは、オレが小学校三年生だった頃。
旅先の列車の中で、オヤジが突然、変な呪文を唱え始めた。


『キロキロと、ヘクト出掛けたメートルが、弟子に追われてセンチミリミリ』


なに、それ?
意味がわからない。
でも、キロ、メートル、センチ、ミリは聞いたことがある。
もしかしたら長さのことなんじゃないか、と当時のオレは思った。


それは、単位の大きさの順番を示す魔法の言葉。
意味がわかったのは、中学生になってから。
「出掛けた(デカ)」や「弟子(デシ)」も、実は順番に含まれていた。
そのことを知って、驚いたことを覚えている。


あれからウン十年。
父親になったオレは、息子達にどんな言葉を託すことができるのだろうか?
と考えて、思いついたのは・・・


『富士山麓オウム鳴く』
なんかタイムリーっぽいけど、小学生にはちと早いかな?
『リッチな母ちゃん、ルビーせしめてフランスへ』
うーん、これは高校化学だな。セシウムは今話題の物質だけど。
『鳴くよウグイス、平安京
これはいいかもしれぬ。小学六年生の社会で歴史をやっている。
『さんてんいちよん、いちごきゅうにろくご・・・』
いや、これは言葉ではなくて、ただの数字の羅列だから。


そういえば、円周率には国民的な語呂合わせが無いなあ。
調べてみると、一応いろいろあるみたい。
『産医師、異国に向こう』とか、『妻子、異国に婿』とか・・・
でも、誰もが知っている語呂合わせには、成り得ていないような気がする。


もしかするとこれは、非常に重要なことなんじゃないか!?
もし、円周率に国民的語呂合わせがあったとする。
そしたら、今の若者が「およそ3」と教えられることは無かっただろう。
ちょっとした語呂合わせの不備が、日本の科学力の低下を招いたかもしれない。


日本人は元来、言葉遊びが好きな民族である。
短歌、俳句、いろは歌。そんな言葉遊びが、生活に根付いている。
「父からこんな風に円周率を教わり、それがきっかけで科学に目覚めました!」
将来、日本人研究者からそんな言葉が聞ける日を楽しみにしている。




はてなダイアリー 今週のお題「父との思い出」