「母は今でもあの家に住んでいます」
「なんでまた、この時期に出張入れちゃったの!?」
声を荒らげるかみさんに、オレはたまらず首をすくめた。
嵐よ早く去ってくれと願うオレに、掛けられた言葉は意外だった。
「来年は、出張を入れないようにしようね・・・」
それは叱責ではなく、寂しさ混じりの声で。
オレはやっと気が付いた。
その言葉に込められた寂しさの理由を。
子供の運動会に出掛けられるのは、来年が最後かもしれないのだ。
最近、アニメ映画を観ていて似たような体験をしたことを思い出す。
細田守監督の『おおかみこどもの雨と雪』
「母は今でもあの家に住んでいます」
ラストのそんなセリフで、胸が締め付けられるような想いがした。
なんでなんだろう?
映画公開のニ〇一ニ年には、何も感じなかったのに・・・
きっとその時は、子供側の立場で観ていたのかもしれない。
自分が見送る立場になって、この映画を観る感覚が一八〇度変わってしまった。
子供達と過ごすために工面した家。
どんな苦労があっても、子供達と一緒に住んでいる時が一番幸せなのかもしれない。
だから、来年の運動会は必ず弁当を持って見に行こう!
なんて出張先で言っても、ぜんぜん説得力がないんだけどね・・・
(追記10/10:ラストのセリフは、正確には「母は今も、あの山の家で、静かに暮らしています」でした)
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はてなダイアリー 今週のお題「運動会とスポーツの秋」