つとむューニッキ(はてなダイアリー版)

つとむューのニッキです。

十円のアルバイト

「ママ、そろそろいい?」
夜八時を過ぎると、娘がリビングにやって来る。
「そうね、じゃあお願い」
そう言って妻が座ると、娘が後ろにまわる。
「うわっ、キモチイイ〜」
妻の肩揉み。これが娘のアルバイトだ。


娘のアルバイトは他にもある。
皿洗い、風呂掃除、そして洗濯物たたみ。
いずれも一回十円。
むちゃくちゃ助かっている。


十円?
そんなに安くていいの?!と思う人もいるだろう。
しかし、娘の財政事情を考えると、これでも大金なのだ。
娘のお小遣は月六百円。
小学一年の月百円から、毎年百円ずつベースアップしてきた。
一方アルバイト代は、一日に四種類をこなせば月千二百円になる計算。
これは、お小遣の二倍に相当する。


考えてみよう。
もし月給の二倍の収入が、ちょっとしたアルバイトで手に入るとしたら・・・
やるよね?
やる。やるやる、絶対やる。
ということで、親娘の労使関係は、今のところ平穏無事に保たれている。


でも、釈然としないところも無いわけではない。
我が家は共働き。
家事を分担することで、夫のメンツは保たれてきた。
それを、いとも簡単に娘に奪われたのだ。
それも十円で!(しかも二つ)
オレのメンツはそんなに安かったのか、と嘆く事もある。
安い労働力に仕事を奪われた職人の気持ちが、なんだかわかるような気がする。


「あっ!?」
テレビのコマーシャルに、娘が肩揉みの手を止めた。
なんでも、嵐が新しくCDを出すらしい。
「パパぁ〜」と物欲しそうに、娘がこちらを見る。
おいおい、これ以上オレから仕事を取るなよ。
今度、妻に内緒で買ってやるからさ・・・




はてなダイアリー 今週のお題「アルバイトの思い出」