初日の出
はっと目を覚ましたオレは、時計を確認する。
朝6時30分。よし、まだ間に合う!
窓の外は、もう結構明るい。
たから、もう手遅れかと思ったが・・・、今年はツイてるかもしれない。
オレはビデオを片手に屋根裏へ上がった。
2010年、元旦。
オレは屋根裏部屋の窓を開けた。
うう、寒い!
でもこれくらい、我慢しなくてはならぬ。
初日の出を撮るため・・・もあるが、他にも理由がある。
というのも、今年はここがオレの秘密基地になるかもしれないからだ。
オレには秘密基地があった。
いや、実際にはまだあるのだが、
子供部屋不足の解消のため、明け渡しを妻から要求されている。
娘は今年、中学校に上がる。
それを期に、弟と部屋を分けてほしいと言い出した。
まあ、それはそれで仕方がない。
女と男だからな。
だからオレは、息子に屋根裏部屋のススメを説いた。
屋根裏、それは男のロマン!
せっかく息子もその気になったというのに、
最近それを妻にひっくり返されたのだ。
「家で一番綺麗に初日の出が見れる部屋なのにな・・・」
一人寒さに耐えながら呟く。
男のロマンなら、あんたが行けばいいじゃない。
妻の言い分はもっともすぎて反論できない。
なんだか涙も出て来た・・・
と思ったら、日の出をビデオのファインダーで見続けていたためか。
そうだ、こんな時のために去年使わなかった日食メガネを持ってこよう。
と思ったが、これまた涙を誘う可能性があるので断念。
旧年の悔いと新年の憂いが織り混ざった、2010年の初日の出であった。
はてなダイアリー 今週のお題「2010年新春の一枚」