つとむューニッキ(はてなダイアリー版)

つとむューのニッキです。

雪の貸し別荘

朝起きると、辺り一面雪の世界。
昨日もそうだったが、降り続いた雪でさらに白くなっている。
玄関を出て道路に踏み出すと、雪の深さは膝くらい。
えっ、膝まで……?
車も、タイヤがすっぽり雪に埋まっていた。


ここはスキー場近くの貸し別荘。
二泊三日の旅行の最終日だった。
これではスキーに行くことはできない。車を動かせないからだ。
管理事務所に連絡すると、そのうち除雪しますから、とお気楽ムード。
いつまで経っても来ない除雪車に、皆の苛々がつのっていく。


そういえば、ここは別荘地の端っこだった。
除雪も最後になってしまうかもしれぬ。
それよりも問題は食料だ。
持参した食料は、朝食の時にすべて消費してしまっていた。
このまま除雪車が来なければ、食料調達のための雪中行軍が必要となる。
その距離は往復十数キロ。
誰が行くのかと、くじ引きが始まった。


ガガガガガ……
いよいよ食料調達隊が出発する頃になって、ようやく除雪車がやってきた。
スキーに行こうという人は、もう誰もいない。
早く都会に戻ろうと帰路を急いだが、それは甘かった。


高速道路は通行止め。国道は大渋滞。
一キロ進むのに一時間もかかった。
コンビニに寄ったらほとんど食料はなし。
ガソリンスタンドに寄ったらハイオクしかない。
いや、それでもマシだった。数台後には全ての燃料が売切れたのだから。


夕方になっても十キロくらいしか進まなかった。
このままでは燃料が無くなって、車の中で凍えてしまう。
その時、救世主が現れた。
偶然この近くに、友人の実家があるというメンバーがいた。
その友人に電話をかけて、急きょ実家に泊めてもらえることになった。
タツでの雑魚寝だったが、車で凍えるよりマシだ。
おにぎりをご馳走になった時は、涙が出て来た。


平成六年二月十三日。
近くの山では七人のパーティーが遭難し、五人が帰らぬ人となっていた。
雪をナメてはいけない。
そう心に刻んだ一日だった。




はてなダイアリー 今週のお題「雪の日の思い出」