つとむューニッキ(はてなダイアリー版)

つとむューのニッキです。

プリンス・オブ・シーガル

「あっ、ない!?」
楽しみにしていたデザートの箱が無くなっていた。
「冷蔵庫の上にあった箱、誰か知らない?」
すると、娘がオレのことを睨みつける。
「パパ、もう食べちゃダメ! 私がママに買ってもらったんだから」
えっ、そうなのか? 誰でも食べていいお菓子だと思っていたよ・・・


それは、かもめの王子、じゃなかった、かもめの玉子
ホワイトチョコに包まれた、カステラ生地と白餡が美味しい卵型のお菓子だ。
「可哀相だから、最後に一個だけあげる」
オレはよほど悲しげな顔をしていたのだろう。
哀れに思った娘が、渋々箱を出してきた。


これこれ、これだよ、かもめの玉子
でも、これが最後なのか・・・
ケチケチせず、オレは一気にかもめの玉子を口に入れた。
舌をくすぐるホワイトチョコの甘さに続いて、白餡が口の中一杯に広がっていく。


そういえば、これって東北のお菓子じゃなかったっけ?
箱の横を見ると、大船渡市と書いてある。
えっ、大船渡って、あの大津波の被害に遭った地域じゃないか。
オレは思わず、製造元のさいとう製菓をネットで調べてみた。


港に面した本社は全壊の被害。
その他、気仙沼陸前高田などにあった五つの直営店は津波に流された。
しかし、従業員と製造工場は奇跡的に無事で、
震災の一ヶ月後、再稼動にこぎつけたらしい。


さいとう製菓のホームページには、銘菓誕生物語が掲載されている。
それによると、かもめの玉子が今の形になったのは、
昭和三十五年のチリ地震津波がきっかけという。
工場が海抜五十メートルの高地に建てられたのは、その影響なのだろうか。


よし、それなら自分でかもめの玉子を買おう。
被災地の復興に一役買うことにもなるし。
いや、それも大事だが、娘の顔色を気にすることなく、
今は無性に、かもめの玉子が食べたいのだ。




はてなダイアリー 今週のお題「デザート大好き!」