オレがお父さん - つとむューニッキ（はてなダイアリー版）

「お願いだから、おしっこ持ってきて！」
登校したはずの娘から電話が掛かって来る。
「おしっこ？」
「尿検査だよ。机の上にあるから」

なんだ、尿検査か。また忘れ物をしやがったな。
「明日持って行きなよ」
「今日じゃなきゃダメなの！」
押し問答の末、結局オレが学校に持って行くことになった。

娘は忘れ物が多い。
それはしょうがない。オレがお父さんなんだから。
合わせて、カミさんも忘れっぽいときている。
物覚えの良い子供が産まれるはずがない。

忘れっぽい性格にも、いいことはある。
嫌なことをすぐに忘れられることだ。
忘れ物をすると、すぐに有り合わせでどうするかを考える。
遠足に弁当を忘れた時の娘なんて、皆にご馳走になったとケロッと帰ってきた。

しょうがねえなと、尿検査を手にして娘の学校へ行く。
教室まで届けるわけにもいかないから、事務室に渡して娘にメールした。
「ありがとう」というメールの返信に安心したオレだが、
仕事から帰って確認してみると、事務室にお礼を言っていないという。

おいおい、それはないだろ。
見知らぬ生徒のおしっこを渡された職員の身になってみろよ。
忘れ物は遺伝だが、礼儀は親のしつけ。
こんな親でスマンと心で詫びながら、こっぴどく娘を叱りつけた夜だった。

でもきっと、もう覚えてはいないと思うけど・・・