つとむューニッキ(はてなダイアリー版)

つとむューのニッキです。

犬と見つけた秘蜜の場所


オレの家に子犬が来てから、散歩に行く機会が増えた。
ある日、近所の畑の脇道を歩いていたとき、驚くべきものを発見する。
「カ、カブトムシじゃねえかっ!」
樹液を流すクヌギの木の幹に、カブトムシのオスが停まっていた。


――カブトムシはクヌギやコナラの樹液に集まります。
子供の頃、昆虫図鑑で何回も何回も読んだ説明だ。
――木の幹に蜜を塗っておけば、朝カブトムシが集まっています。
父親に連れて行ってと頼んだが、一度も行く機会は得られなかった。


子供の頃、夢にまで見た光景。それが目の前で展開されている。
しかも薄暗い早朝ではなく、陽が登った後の時間に。
「図鑑の説明通りじゃねえか!」
大人になって、こんなに興奮するとは思わなかった。


次の日も、その次の日も、カブトムシは樹液を食べに来ていた。
「パパ、捕まえようよ!」
一緒に来た息子達も興奮している。
そこでオレは大人らしさを披露した。


「捕まえてどうすんの? カゴに入れて見るだけでしょ?」
「だったら此処に見に来ればいいじゃん」
「此処ならエサもあるし、メスも居るし、卵も産めるし、来年も増えてるし」
本当は、一番捕まえたかったのはオレだったんだけどね。


来年もカブトムシが見られるかな。
犬と見つけた秘密、いや秘蜜の場所。
――あの時、父親とカブトムシを見に来たね。
そんな思い出を息子達に残せてやれたことが嬉しい、二〇一四年の夏だった。




はてなダイアリー 今週のお題特別編「はてなブログフォトコンテスト2014夏」