『処刑』〜「ようこそ地球さん」
青春時代に読んで、いまだに忘れられない作品がある。
――『処刑』
星新一のショートショートで、短編集「ようこそ地球さん」に収録されている。
死と隣り合わせになった主人公の、心の葛藤を描いている。
時は未来。死刑囚となった主人公は、砂漠の星に送られる。
その星で渡されるのは、銀色の玉と赤い粒だけ。
赤い粒を水に浸けると、クリーム状の食料になる。
肝心の水は銀色の玉から出るのだが、いつかは爆発する仕組みになっているのだ。
人間は銀色の玉のボタンを押すとき、どんな気持ちになるのだろう?
そのときの心情描写が素晴らしい。
次は爆発するかもしれない。でも、押さなければ水は得られない。
このハラハラドキドキ擬似体験が、深く心に刻み付けられたのだろう。
最近の映画を観ていたときも、この『処刑』を思い出した。
スターウォーズ最新作で、水に浸して食料を作るシーンだ。
あと地震で瓦礫に埋もれてしまったときも、この作品を思い出そうと思っている。
死に面しているのか、それともまだ生を得ているのか。最期は潔くありたい。
昨晩から某所のGW企画が始まった。
投稿数は十四作品でとっても少ない。
週末には、カクヨムコンテストの読者選考結果も発表される。
しばらくは、ハラハラドキドキ体験ができそうだ。
はてなダイアリー 特別お題「青春の一冊」
- 作者: 星新一
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1972/06/19
- メディア: 文庫
- 購入: 9人 クリック: 86回
- この商品を含むブログ (65件) を見る