つとむューニッキ(はてなダイアリー版)

つとむューのニッキです。

オレのマナーは誰の心も温めない

数年前のことだった。
大好きなモノレールの先頭車両に乗ったオレは、愕然とする。
なぜなら、眺めのよい席が全部、兄弟と思われる子供達に占領されていたのだ。


大人だったらそれくらい我慢してやれよ――と誰もが思うだろう。
オレもそう思う。その子達が無邪気に景色を眺めていたのであれば。
なんと彼らは――全員ゲームに夢中で、景色なんて見向きもしなかった。


「ねぇ、お兄ちゃん。ゲームは止めておこうよ」
「なんで? いいとこなのに!?」
「だって、ほら、後ろのおっちゃんがすごく不機嫌な顔で睨んでるから……」
そんな会話でもあれば心温まるマナーの話だったのに、彼らはゲームに夢中のまま。


「ちょっと、貴女があの子達のお母さんですか?」
「はあ、そうですが……」
「しつけがなっていませんよ。あそこはゲームをする席ではありません」
なんて忠告しても、心温まるマナーの話にはならない。


だからオレは、ぐっと我慢する。
そして誓うのだ。モノレールの先頭に座ったら、心から景色を楽しもうと。
だってそれが、オレの精一杯のマナーだから。
誰の心も温めなくていい――そんな覚悟で、今日もオレは先頭車両に向かう。




はてなダイアリー 今週のお題特別編「心温まるマナーの話」